メタプラネットはビットコインを大量に保有する日本企業として注目を集めていますが、2025年に入って株価が大きく下落して話題になっています。過去1ヶ月で約30%、年初からは40%近くも値を下げています。一方で、ビットコイン投資の先駆者であるマイクロストラテジー(MSTR)は、ビットコイン価格と連動して株価が大きく動く傾向があります。これらの仮想通貨を戦略的に保有する企業は一般的に、「クリプトトレジャリー企業(Crypto Treasury Companies)」と呼ばれます。なぜメタプラネットは低迷し、MSTRとは異なり、ビットコイン価格に連動しないのか?その理由をわかりやすく解説します。投資家必見のポイントを押さえて、今後のメタプラネットの可能性を探ります。

1.メタプラネット株価低迷の3つの理由
メタプラネットの株価が苦戦している背景には、いくつかの明確な要因があります。以下で、主要な原因を詳しく見ていきましょう。
1.1 新株発行による希薄化の影響
メタプラネットはビットコイン購入のための資金調達を目的に、頻繁に新株を発行しています。2025年の国際的な新株発行では、株価が一時60%近く急落する場面も。この新株発行により、既存株主の持ち分が薄まり、1株あたりの価値が低下。これが投資家の不安を招き、株価下落の一因となっています。
メタプラネット(3350)の2025年9月16日時点の株価は601円。この株価に基づく時価総額は約4,546億円(発行済株式数755,974,000株 × 601円)となります。
同社の保有ビットコイン(BTC)については、2025年9月8日時点で20,000 BTCを超える保有が確認されており、9月16日時点でも同規模(約20,000 BTC)とみなせます。2025年9月16日時点のBTC価格は1 BTCあたり約17,000,000円です。
したがって、保有BTCの総価値は約3,400億円(20,000 BTC × 17,000,000円)となり、1株当たり価値は以下の計算で求められます:
- 総価値 ÷ 発行済株式数 = 3,400億円 ÷ 755,974,000株 ≈ 449.5円
つまり、保有ビットコインの価値は1株当たり450円程度であり、株価はそれに期待値を載せて601円になっている状態。最高値の1930円がいかに高値だったかがわかります。この先、まだまだ下がるのか、上がるのかは誰にもわかりません。
ちなみにマイクロストラテジーの2025年9月16日時点の株価は$335.09。ビットコインの一株あたりの価値は約$288。こちらもビットコインの価値に期待値を載せた株価になっています。
ポイント: 新株発行は短期的な資金調達に役立つ一方、株主価値の希薄化を招くため、市場の信頼を損なうリスクがあります。
1.2 ビットコイン依存への投資家の懸念
メタプラネットの企業価値は、ほぼビットコインの保有量に依存しています。そのため、ビットコイン価格が下落(たとえば8月の高値からの調整局面)すると、株価も連動して下落しやすい構造です。投資家は「ビットコイン価格の下落=メタプラネットの価値下落」と捉え、リスクが高いと判断して売却を進める傾向にあります。
投資家心理: ビットコインへの過度な依存は、短期的な価格変動リスクを増大させ、投資家の信頼を揺らがせています。
1.3 ショートセラーの影響と市場のムード
最近の取引データでは、ショートセラー(株価下落を狙って株を借りて売る投資家)の活動が活発化。ある日には取引量が過去最高を記録しましたが、これが株価のさらなる下押し圧力に。ビットコイン保有量が2万を超えたポジティブなニュースが出ても株価は5%下落するなど、市場のネガティブなムードが影響を与えています。
市場動向: ショートセラーの増加は、株価の短期的な変動を増幅させ、投資家の不安を煽る要因となっています。
石破首相退任で日経平均爆上がりしてますね。メタプラ以外は。
— おりべ@アメリカで株始めました。 (@oribe_usa) September 8, 2025
2. なぜメタプラネットの株価はマイクロストラテジーの株価のようにビットコイン価格に連動しないのか?
マイクロストラテジー(MSTR)はビットコイン価格の上昇に連動して株価が大きく上昇する「ビットコインの代理投資」として知られていますが、メタプラネットは同じような動きを見せません。その理由を3つの視点から解説します。
2.1 企業規模と市場の信頼の差
MSTRはビットコインを約60万保有する巨大企業で、投資家から「ビットコイン投資の王者」として厚い信頼を得ています。一方、メタプラネットの保有量はMSTRの約20分の1。日本企業としてビットコイン戦略を始めたばかりで、投資家からは「まだ実績が少ない」と見られがちです。そのため、ビットコイン価格が上昇しても、株価へのポジティブな影響が限定的です。
違いのポイント: MSTRの確固たるブランド力に対し、メタプラネットは信頼構築の途上にあることが、連動性の低さにつながっています。
2.2 新株発行による価値の希薄化
前述の通り、メタプラネットの頻繁な新株発行は、1株あたりの価値を薄める要因に。MSTRも新株発行を行いますが、その規模が大きく、影響が分散されるため、ビットコイン価格に素直に連動しやすい構造です。メタプラネットの場合、希薄化の影響が大きく、株価がビットコインの上昇を十分に反映できません。
投資家への影響: 希薄化は株価の「ブレーキ」となり、ビットコイン価格の上昇が株価に反映されにくい状況を作っています。
2.3 日米市場の環境の違い
MSTRが上場するアメリカ市場では、ビットコインETFなどの競合が存在するものの、投資家心理は比較的ポジティブ。一方、日本市場は低金利環境が有利な点はあるものの、投資家心理が慎重で、ショートセラーが活発に動いています。このため、メタプラネットの株価はビットコイン価格の上昇による「プレミアム」が抑えられ、連動性が弱まっています。
市場環境: 日本市場の慎重な投資家心理とショートセラーの影響が、株価の成長を制限しています。
3. メタプラネットの今後の可能性
メタプラネットは「日本版マイクロストラテジー」として期待されていますが、現時点では企業規模や市場の信頼度で差があります。しかし、ビットコイン保有量をさらに増やし、市場の信頼を獲得できれば、将来的にMSTRのような強い連動性を持つ可能性は十分にあります。
メタプラネットの株価低迷は、新株発行による希薄化、ビットコイン依存への懸念、ショートセラーの影響が重なった結果と考えられます。MSTRとの違いは、企業規模、市場の信頼、市場環境の差に起因しているようです。
メタプラネットはビットコインの最高値更新で将来の成長への期待が高まりすぎ、バブルのようになっていたものの、一旦それが収まったというところでしょうか。
私は仮想通貨にもクリプトトレジャリーにも投資はしていませんが、やはり個人のリスク許容度の範囲内で投資するべきだと思います。SNSには一発当ててギャンブルに勝った人達だけが注目を集めますが、それは「生存バイアス」のかかった情報であることをくれぐれも忘れずに。
※投資は最終的に自己判断、自己責任の世界です。この記事にはあくまで私の実体験とその感想を書かせていただきました。誰がなんと言おうと最後は自分の判断で投資を行って下さいね。
メタプラネット。持ってないのに、つい興味本位で見ちゃってます。株の怖さを教えてくれます。 pic.twitter.com/bk1kdHAadd
— おりべ@アメリカで株始めました。 (@oribe_usa) September 10, 2025
株クラにいて忘れてはならない言葉『生存者バイアス』。ギャンブルに勝った人の話を聞いて自分も出来ると思うなかれ。
— おりべ@アメリカで株始めました。 (@oribe_usa) August 27, 2025