ニューヨーク外国為替市場で1ドル158円40銭台に
2024年4月26日のニューヨーク外国為替市場で1ドル158円40銭台をつけ、1990年5月以来、34年ぶりの円安水準になったそうです。日本側では26日の金融政策会議において、日本銀行の植田総裁から日本の金利政策に対して、大きな変更をするという内容はありませんでした。また、アメリカ側ではインフレが収まっておらず、年内6回予想されていた利上げが先送りされ、現在の高金利が続きそうだという予想がされています。様々な要因が為替に影響を与えるとはいえ、メインは日本とアメリカの金利差の開きは当分維持されるので、どうせ持つなら金利の高いドルを持っておこうとなり、円安が進んでいると考えられます。コロナ開けで世界はインフレが進み、各国がインフレの抑制のために金利を上げている最中、日本は頑なにゼロ金利政策を続けている結果、こうなるのは仕方がない面もあると思います。
円安が進むとアメリカ駐在員にはどんな影響が出るか?
国の話はさておき、やはり気になるのは円安が進むと我々アメリカ駐在員の生活はどうなるのか?ということです。私は円安では以下のメリット・デメリットがあると思います。
円安のメリット
・一時帰国でドルで買い物すれば以前より多くの物が買える
・本帰国してドルを円に交換すれば以前より多くの円が得られる
・海外に製品を出荷している企業であれば、ドルを円に直した時に売上、利益が増えることになり、業績が改善される
・アメリカの株をドルでそのまま買える
円安のデメリット
・新たに赴任してきた場合などに、円をドルに交換しにくい
・ドルで給料をもらう時の計算方法が変わり、手取りが下がる
・日本に帰って働くことへの不安が募る
それでは詳しく見ていきましょう。
アメリカ駐在員にとっての円安のメリット
円安のメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
一時帰国でドルで買い物すれば以前より多くの物が買える
私は年一回日本に一時帰国しますが、最近は一時帰国で日本に帰る度に物が安くなっていくのを感じます。その結果、ついついお金を使いすぎてしまうこともあります。アメリカの年会費がかかるクレジットカードの多くは為替手数料が無料ですので、日本のレストランやお店でそのクレジットカードを使えばドルで支払うことができます。もちろん日本でドルを円に両替しても、以前よりも多くの円を手にする感覚を持ちます。100ドルを円に両替したら1万5800円になってしまいます。1万円の寿司を食べても、ドルで払えば$63程度。なんだか得したように感じますね。
本帰国してドルを円に交換すれば以前より多くの円が得られる
ドルで給料をもらって貯金や投資をして方であれば、アメリカ側で増えたドルを帰任時に円に両替すれば、以前よりも多くの円を手に入れることができます。1万ドルを持っていたら158万円、10万ドルを持っていたら1,580万円です。1ドル100円と言うのがなんとなく基準相場かなと感じていた私にとっては、1.5倍以上増えてしまう感覚さえ持ってしまいます。私がアメリカ赴任し、アメリカで株を始めようと思った当時、せっせと円をドルに両替していましたが、この状況になると無駄ではなかったなと感じます。
海外に製品を出荷している企業であれば、ドルを円に直した時に売上、利益が増えることになり、業績が改善される
海外での売上比率が高い日本の大手メーカーとしたら、円安が進めば進むほど円ベースで決算した時には売上、利益ともに増加します。今の日本の円安は進みすぎていると一般庶民がいくら考えたとしても、日銀や日本政府は日本の大手企業の圧力に負けて、大した対策が打てないのかもしれません。企業の業績が上がれば、給料Up、ボーナスUpの可能性が増えます。
アメリカの株をドルでそのまま買える
このブログのメインテーマはアメリカ株であり、私の投資のモットーは”Just Keep Buying(ただ買い続けろ!)”です。アメリカ株を買うにはドルでそのまま買うほうが心理的に楽です。日本では新NISAが始まり、多くの初心者投資家がアメリカ株を買い始めて入ると思います。しかし、アメリカの株は当然ドルで購入しなければなりませんので、為替差は投資成績に大きく影響します。例えば基準価格$100のETFを買おうと思った時に、1ドル100円の時代であれば1万円で買うことができたのに、今では1万5,800円出さなければ買うことができません。その点、アメリカで駐在している私達はドルで給与をもらい、ドルで株を買うことができるため、為替の影響を受けずに売買できます。
アメリカ駐在員にとっての円安のデメリット
メリットがあるものには必ずデメリットがあります。ここからはどんなデメリットがあるのかを考えます。
新たに赴任してきた場合などに、円をドルに交換しにくい
新しくアメリカに赴任してきた人は、生活に必要なものを買い揃えたりするのに、もちろん会社から手当は出ると思いますが、自分の持っている円をドルに両替したいと思うかも知れません。しかし、この為替レートで円をドルに両替すると減ったように感じてしまい、なかなかそれに踏み切れないのではないかと思います。赴任手当の金額もインフレに合わせて毎年改定されていればいいですが、そうでない場合は数年前と同じ金額の赴任手当をもらったとしても、インフレのせいでそのお金で買うことができるものは少なくなってしまっており、とにかく生活の立ち上げ資金には困ると思います。
ドルで給料をもらう時の計算方法が変わり、手取りが下がる
ドルでもらう給料の計算方法は、日本での給料に日本との物価指数の差を表すIndex Rateを掛け、それを為替レートで割るという方法が一般的なのではないかと思います。アメリカの物価は日本に比べ相当高いので、2倍程度のIndex Rateになったとしても、そこから為替の158で割り算されてしまうと、前年に比べて実質のドルの手取りが少なくなる可能性があります。もちろん昇給も加味すればドルの手取りは増えていると思うかも知れませんが、昇給を考慮せず、Index Rate / 為替レートの値が、昨年より多くなっているか少なくなっているかで判断しなければなりません。これだけインフレしているアメリカで、実質の手取りが下がるとなると、特に家族帯同で赴任している人にとってはたまったものではありません。
日本に帰って働くことへの不安が募る
これだけ円安が進むと、もはや日本はお金が稼げる国ではなくなっています。2024年1月のYahooニュースの記事では、日本の大卒の初任給が、ニューヨークの最低賃金を下回るという衝撃的なニュースがありました。日本人にとって日本は安全で住みやすい国ですが、日本経済は世界に比べるとこの30年間全く成長しておらず、いつの間にかアジアでも賃金の安い国になってしまいました。挽回しようにも少子高齢化は止まらず、出る杭は打つ、護送船団方式の日本の文化が、世界と戦うことができる企業の誕生を阻んでいるようにも思えます。将来どの国で働くべきか、よく考える必要があります。
私の円安への対処方法
では、この円安に対して、私はどう動くかと言うと、何もしません笑。まず、今が円安なのか、円高なのかすら誰にもわからないというスタンスです。去年あたり、駐在員でも円安になったと言って130円、140円台になった時に、ドルを円にするために日本に送金した人が多くいました。しかし、今やそれが158円です。もし当時こうなることがわかっていたのなら、まだ持っていた方が正しかったことになります。しかし、何度も言うようですが、未来のことは誰にもわかりません。急激に円高になり、また1ドル100円になるかも知れませんし、1ドル200円、300円になってしまうのかも知れません。自分の力で変えることができないことは、「考えても仕方ない」ことです。「考えても仕方ない」事を考えている時間がもはや無駄なわけです。その時間を使って、本を読んだり、金利の高い銀行口座を解説したり、両学長のYouTubeを見たりすればいいわけです。為替がどう動こうが、慌てず、ただ坦々と積立投資を継続していけばいいと思います。
また、為替の未来を予想したりする人は、本質的には詐欺師と変わりないと考えて問題ありません。トレーダーや経済評論家など、その人がなぜその発言をしなければならないかを考えてみることが大切です。とにかく耳を傾けないことが重要です。
※投資は最終的に自己判断、自己責任の世界です。この記事にはあくまで私の実体験とその感想を書かせていただきました。誰がなんと言おうと最後は自分の判断で投資を行って下さいね。