ビットコインはとうとう10万ドルの時代に突入
ビットコイン(Bitcoin)は2023年には1ビットコイン2万ドル台でしたが、2024年には6万ドル台になり、12月にはとうとう10万ドルを超えました。半減期の度にどんどんと価格を上げ、これまでどんな投資商品でも経験したことがないようなスピードで価値が増えていっています。アメリカでも次期大統領のトランプ氏が、ビットコイン肯定派であることから、今後アメリカ政府も本格的にビットコイン備蓄に走る可能性もあります。
当然投資をかじっている私の目から見ても、このビットコインの成長はあまりにまぶしい存在です。SNSにもビットコインを買って大儲けした人たちの情報であふれかえっています。まさに一撃で億万長者になる夢を見る事が出来る商品。私も何度も購入しようかと考え、結局買わないまま今に至ります。それでも私がビットコインを買えていない事には理由があるのだと思います。そこで私がビットコインに対して今感じていることをまとめておきたいと思います。
今更感がある
ドル建てで見たビットコインの価格推移のチャートは以下の通りです。ビットコインは2008年に正体不明のSatoshi Nakamotoという人またはグループが論文を発表し、その後実際にマイニングを行う事で誕生した仮想通貨です。2010年には1ビットコインがたった0.09ドルでした。10年前の2015年では200ドル程度で買う事が出来ました。それが10年で10万ドル(500倍)になりました。もし10年前に100万円分買っていたら今5億円以上になっているという事です。
例えば10年前に1万円で買った服を今500万円で買えますか?無理ですよね。この急激な価格上昇に私の脳みそはもはや追いつきません。今後いつ買おうとも、もっと早くに買っておけば良かったと後悔が付きまといそうです。
バブル感がある
よくビットコインの引き合いに出されるのが1637年に起きた世界最初のバブルと言われるオランダのチューリップ・バブルです。当時のオランダでは、様々な品種のチューチップが栽培され、その中でも珍しい柄の花をつける球根には家一軒買えるほどの値段が付いたそうです。そのバブル熱狂の最中には誰もがそのチューリップにはそれだけの価値があると真剣に考えていました。しかし、これといった理由もなくバブルははじけ、チューリップの価格は大暴落し、後には何の価値もない球根だけが残ったとの事でした。
ビットコインがこれと同じ状態ではないとは誰にも言い切れません。ある日突然バブルがはじけ、夢から覚めたように人々がビットコインには価値がないと考え始める可能性があります。またビットコインと同じもの、それより優れたものは現在の技術であれば簡単に作り出すことができます。実際、毎日のように新しい仮想通貨が誕生しています。その中に突然ビットコインを超える素晴らしいものが出来てしまう可能性もあります。今のところビットコインは最初にできた仮想通貨というネームバリューを活かし、トップの座を保ち続けてはいますが、それが永遠に続くことは補償されてはいません。
ギャンブル感がある
仮想通貨はもともと各国が発行する通貨の弱点を克服する事を目的として作られました。国が通貨を発行するという事はその利権を握る国家が一番儲かります。また、現代のほとんどの通貨には発行限度枚数がなく、いくらでも印刷できます。このため通貨には価値がどんどん下がり、反対にモノの値段は上がっていくというインフレが宿命づけられています。さらに、国が通貨価値を維持できるだけの信用を失えば、通貨も紙くずとなります。
これに対して、ビットコインは誰でも通貨をマイニング(生産)する人、管理する人、使う人になることができ、中央集権型ではなく分散型の通貨といわれます。発行枚数は最初から2,100万枚と上限が決められており、唯一インフレを防ぐことが可能な通貨です。また、すべての人で信用を担保しているため、国が滅んだとしてもビットコインは消える事はありません。
このように高い理想を掲げられて誕生したビットコインですが、現時点ではギャンブルの側面も持ってしまっていることもまた事実です。ビットコインをこのような崇高なものとしてとらえている人は少なく、一発逆転のギャンブルととらえている人が多いのではないかと思います。
まだ誕生してからの歴史も浅く、他の金融資産に比べて時価総額規模も小さいことから毎日の変動(ボラティリティ)も激しく、ちょっとした有名人の発言や、ハッキングによる流出事件でも価格が大きく変動します。また株式と異なり24時間365日取引されるため心が休まることがありません。ずっとジェットコースターに乗っているようなもの。ギャンブル中毒のような状態になり、不眠症になってしまう可能性もあります。
先が読めない
ビットコインが誕生してまだ16年しかたっておらず、この先どうなるのか誰にもわかりません。上限の2,100万枚にいつ到達するのか、到達したら何が起きるのか、量子コンピュータが誕生しても安全性が確保されるのか、自分が使っている仮想通貨取引所はハッキングされないのか、いつか自由に使える日が来るのか、など多くの疑問に誰も答える事が出来ません。
ビットコイン保持者は下記の様な内訳になっていることがわかっています。創始者のSatoshi Nakamotoは約100万枚持っています。現時点でまだマイニングされていない残り分はたったの120万枚(5.8%)です。つまりビットコインはすでに約94%がマイニングされて誰かが持っている状態であり、これを世界中のお金持ち達が奪い合っている状況です。まさに世界では静かにビットコイン戦争が起きているわけです。この先に一体何が待っているんでしょうね。
出口戦略が難しい
これもよく言われますが、日本ではビットコインを換金して得た利益は雑所得となり、累進課税制度の対処となるため最大45%の税金がかかります。これにさらに住民税が10%かかるので、最大で利益の55%が税金で持っていかれてしまいます。このため、ビットコイン長者は税金を逃れるためにドバイなどに移住してから換金しているわけです。
これが通常の株式であれば申告分離課税となり、いくら儲けようと利益分の約20%の税金で済みます。資産額が高額になればなるほど、この税金の差が重くのしかかることになります。昨年、ビットコイン保持者が亡くなり、相続人がそれを相続した場合に、最悪のケースでは、所得税、住民税、相続税の3つの税率の合計が100%超えるという記事が出て話題にもなりました。これではビットコイン長者は急死できませんね。日本では特に仮想通貨に対しての対応は遅れていると感じます。IT革命のあたりから、日本は時代にどんどん取り残されて言っている感じがします。まるで江戸時代末期、鎖国していた時代と同じ様な状況に陥っているようにさえ感じます。このように、ビットコインはまだ歴史が浅く法整備が整っていないため、出口戦略が難しい投資商品です。
ビットコインを世界一持っている(約2.1%分を保有)株式会社として知られるマイクロストラテジーのマイケル・テイラー氏は、ビットコイン自体が出口戦略そのものであり、ビットコインを時代遅れの通貨に換金する意味がないと言っています。つまり、そう遠くない未来にBitcoinが主流となり、これまでの現物通貨は廃れると考えているのだと思います。そう考えると売ることは考えず、ビットコイン中心の世界になるまでにひたすら持ち続けるのが正解という事になりますね。
ウォーレン・バフェット氏はビットコイン否定派
世界一の投資家でありオマハの賢人として知られる、バークシャー・ハサウエィを率いるウォーレン・バフェット氏はビットコイン否定派としても有名です。彼のビットコイン語録を紹介します。
「ビットコインはギャンブルトークン」
「ビットコインには本質的な価値がない。しかし、ルーレットを回したいという人がいるのはやむを得ない」
「ビットコインは殺鼠剤を2乗したようなもの」
「世界中のビットコインを25ドルで売ると言われても、私は受け取らないだろう」
ビットコインに対してここまで言ってしまえるのもさすがだと思います。この現役世界最強投資家が正しかったのか、新しい時代の変換点を迎えているのか、時間だけがそれを証明できます。この話を聞いて、天才物理学者のアインシュタインが、新しく誕生した量子力学を認める事が出来ず、「神はサイコロを振らない」と言った事に状況が似ているような気もします。量子力学は今や世界の常識として受け入れられていますが、ビットコインはどうなるのか非常に興味深いところです。
結論:私は様子見
結論として、今すぐ全財産ぶっこむなんてことはもちろん考えてはいません。私は様子見です。隣の青々と茂っていく芝生をうらやましいなと思いながらも、ゆっくりとインデックス投資で資産を増やしていこうと思います。また今の気持ちが変わったら記事を書きます。
※投資は最終的に自己判断、自己責任の世界です。この記事にはあくまで私の実体験とその感想を書かせていただきました。誰がなんと言おうと最後は自分の判断で投資を行って下さいね。