【2025年5月】トランプ大統領の相互関税の動き

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2025年4月のアメリカ市場は、トランプ大統領の「相互関税政策」に市場が振り回された一か月でした。一連の動きをまとめておきます。

4月の市場と関税政策のポイント

  • トランプ関税の影響: 相互関税の発表後、ダウ平均やナスダックが一時4~6%下落するなど、市場は大きく動揺。しかし、4月9日に一部関税の90日間凍結が発表され、株価は急反発(S&P500は同日8.4%上昇)。
  • テクノロジー株の回復: AIやクラウドサービス関連企業(例:NVIDIA、マイクロソフト)が好決算を背景に市場を牽引。
  • インフレの安定: 関税による価格上昇圧力はあるものの、消費者物価指数(CPI)はFRBの2%目標に近い2.6%前後で推移。FRBは金利を4.25%~4.50%で据え置き、利上げを急がない「様子見」姿勢を維持。
  • エネルギー価格の落ち着き: 原油価格が安定し、エネルギー株が市場の安定感を支えた。

トランプの相互関税政策:何が起こった?

トランプ大統領の相互関税政策は、米国の貿易赤字を是正し、「アメリカ第一」を掲げる経済戦略の中核です。2025年4月の具体的な動きを、インデックス投資家向けに分かりやすくまとめます。

1. 政策の背景と目的

トランプ氏は、米国の貿易赤字(2024年で1.2兆ドル超)が国家安全保障と経済に「異常な脅威」をもたらすとして、4月2日に国際緊急経済権限法(IEEPA)を発動し、国家非常事態を宣言しました。この政策は、以下を目的としています:

  • 貿易赤字の削減: 特に中国、カナダ、メキシコ、EUなど、米国との貿易で大きな赤字を生む国をターゲット。
  • 国内製造業の保護: 関税で輸入品の価格を上げ、米国内での生産を促進。
  • 相互性の確保: 米国が他国に課す関税を、他国が米国製品に課す関税率に「相互」に合わせる(例:EUが米国車に10%関税なら、米国もEU車に10%関税)。

トランプ氏は、「関税は辞書の中で最も美しい言葉」と述べ、関税を外交・経済政策の中心に据えました。

2. 4月の具体的な関税措置

4月2日の「解放の日」発表では、以下の関税が導入されました:

  • 10%のグローバル関税: 4月5日から、USMCA(米・メキシコ・カナダ協定)適用商品を除くすべての輸入品に10%の関税を課す。これは、すべての貿易相手国に適用される「ベースライン関税」。
  • 国別相互関税: 4月9日から、中国、EU、日本など約90カ国に、米国との貿易赤字に基づく「相互関税」を課す。たとえば:
    • 中国:104%(既存の20%関税+新関税84%)→後に125%に引き上げ(4月9日)。
    • EU:20%(後に10%に軽減、7月8日まで凍結)。
    • 日本:10%(基準関税のみ)。
    • ベトナム:46%(後に10%に軽減)。
  • 免除品目: 銅、医薬品、半導体、エネルギー関連商品などは関税対象外。4月11日には、スマートフォンやパソコンも免除リストに追加。

しかし、市場の混乱や国際的な反発を受け、トランプ氏は4月9日に方針を一部修正:

  • 90日間の関税凍結: 中国を除くほとんどの国の相互関税を10%に引き下げ、7月8日まで凍結。これにより、EUや日本の関税負担が一時的に軽減。
  • 中国への関税強化: 中国に対しては、市場への「敬意の欠如」を理由に、関税を125%に引き上げ(4月9日)。

3. 国際的な反応と市場への影響

関税発表後、主要貿易相手国は強く反発しました:

  • 中国: 米国に34%の報復関税を課し、一時は84%まで引き上げ。4月末時点で両国は「相互貿易戦争」の様相を呈しましたが、5月14日以降、両国は関税を大幅に引き下げ(米国:30%、中国:10%)、90日間の交渉期間に入りました。
  • EU: 20%の関税に反発し、自動車や医療機器など950億ユーロの米国製品に報復関税を検討。4月9日の関税凍結を受け、交渉を優先する姿勢に転換。
  • カナダ・メキシコ: USMCA適用商品は免除だが、非適用商品に25%関税が継続。両国は報復を控え、USMCA枠での交渉を模索。
  • 日本: 10%の基準関税のみで、報復は回避。石破茂首相は「国家危機」と述べつつ、米国との交渉を重視。

市場への影響

株価の乱高下: 4月2日の関税発表で、ダウは4%、S&P500は5%、ナスダックは6%下落(2020年3月以来の大幅安)。特に、ナイキ(7%下落)やウォルマート(8%下落)など輸入依存度の高い企業が打撃を受けた。4月9日の関税凍結発表後、S&P500は8.4%急騰。

インフレ懸念: 関税による輸入コスト上昇で、消費者物価が2%程度上昇するとの予測(JPMorgan)。例:iPhoneの価格が最大2300ドルに跳ね上がるリスクが指摘された。

経済成長への懸念: 関税が続けば、2025年の米国GDPは0.7~0.9%縮小、グローバル経済もリセッションに突入する可能性(JPMorgan、IMF)。

インデックス投資家へのアドバイス

長期視点を持つ: 関税による市場の乱高下は「ノイズ」にすぎません。S&P500は過去、貿易戦争や経済危機を乗り越えて成長を続けてきました。たとえば、2018~2019年の米中貿易戦争でも、S&P500は年率10%以上のリターンを記録しています。

自動買い付けを続ける: 株価が下がったタイミングは、むしろ安く買えるチャンス。私の場合、FXAIXを毎月$1,000自動購入しており、4月の下落局面でも淡々と積み立てました。

分散投資を意識: 関税の影響はセクターや国によって異なります。S&P500のような広範なインデックスは、特定の業界リスクを軽減し、長期的な安定性を提供します。

今回のトランプ関税騒ぎでは、自分の投資だけでなく、仕事の方でも大変な騒ぎとなりました。しかし、関税はまだ延期された状況にあり、今後もなにが起こるか予断を許さない状況です。

それでも私のようなインデックス投資家は、右往左往せずコツコツと積み立てる事だけを考えていくのがベストだと思います。

※投資は最終的に自己判断、自己責任の世界です。この記事にはあくまで私の実体験とその感想を書かせていただきました。誰がなんと言おうと最後は自分の判断で投資を行って下さいね。

この記事を書いた人
おりべ

アメリカ駐在サラリーマンとして働きながら、アメリカでの資産運用について模索中。
このブログでは、私が一歩でも自由になるために日々学んだことを発信していければと思います。
投資のモットーは ”Just Keep Buying”です。
TOEIC 930点(リスニング495点、リーディング435点)、英検準一級。

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